2016年11月10日 (木)

求愛

『求愛』
瀬戸内寂聴

掌小説。
一篇が短くとても読みやすい。
寂聴さんの本を初めて読んだけど、正解だったかもしれない。
他の作品も読んでみたいと思った。
この本は様々な形の愛に溢れていた。
とても数え年95歳のおばあちゃんが書いたものだとは思えないほど面白かった。
子宮作家と呼ばれるほど愛を書いてきた人のこの本は誰かを狂おしいほど愛したいと思うくらい愛に溢れていた。
何度でも言う。
この本は愛に溢れている。
誰かを愛したいし誰かに愛されたくなる。
骨まで愛して灰になりたい。
地獄の業火に焼かれても良いと思える愛に溺れたい。
この感想はどうなんだって感じだな。笑
でも、それくらい愛を求めてしまう本だった。

2016年11月 9日 (水)

歌姫メイの秘密

『歌姫メイの秘密』
伊藤たかみ

メイは僕のいとこで恋人。
メイと母親のさつきさんは「ありがた教」と呼ばれる宗教団体から逃げてきた。
メイはいつも不機嫌でちょっと変わった女の子。
小学生だったメイと僕は高校生になりメイの父親を探す旅に出る。
ここからいろいろあって僕は大学生になり、歌姫になったメイと再会する。
歌姫になったメイは僕にお願いをする。
「少しだけお願いがある。」
「いっぺんだけ、ぎゅっとして。」
この気持ち分かる。分かる。分かるよ。とひとりごちる。笑

私はこの人の本が本当に好きだ。

2011年5月31日 (火)

魔女と金魚

『魔女と金魚』
中島桃果子


「ああ誰か。
『外は雨だね』
と言う前に、泣いているのですかと、
それすら訊かずに、そばに座って。
叱ったり、励ましたり、
弱いなともどかしがったりせずに」

魔女になりたかった子供の頃を思い出して手に取った本だった。

読みやすくて意外に大人な本だった。

「一途に愛せる素質を持つことと、一途に愛される素質を持つことと、どっちが幸せなのかしらね」

マドカが言ったこの言葉にわたしはどっちなんだろって思った。

たぶん、どっちも持ち合わせてはいないし

どっちが幸せだとも言い切れないと思う。

「何も言わないでただ髪を撫でて。
それがそう、あなたなのかしら?
何も言わずにそっと手を握って。
それがそう、あなたなのなら。
ただあなたの歌を歌ってほしいの。
一緒にまっすぐ歩いていけないと知っていても、
いつか心で抱き合えるその日のために、
儚く舞い上がる泡のような歌を歌って」

失ってから気付くものはいつだって何よりも大切なもので

けど、失わないと大切なものだったことに気付かない。

それはきっと大切なものをちゃんと見ていなかったからだと思う。

誰かこの歌を歌ってくれないかな。

2010年9月24日 (金)

誰かと暮らすということ

『誰かと暮らすということ』 伊藤たかみ

この人の書く本が好き。

どこにでもいる人たちで普通で普通の人たちの感情が心地良い。

誰かと暮らすということは複雑ですごく簡単。

それは家族でも友だちでも恋人でも全くの他人でも同じこと。

適度な距離と優しささえあれば難なく暮らしてゆける。

自分以外の人の生活に必要以上に踏み込まないこと、ちょっとだけ図々しくなること、さりげなく手を貸すこと。

難しいけど簡単、簡単だけど難しい。

けど本当はすごく単純で簡単。

誰かと一緒に暮らすって一人じゃなくて良い。

必ず誰かが帰って来るから。

誰かと暮らすと優しくなれる気がする。

2010年4月12日 (月)

僕の好きな人が、よく眠れますように

『僕の好きな人が、よく眠れますように』 中村航

こんな恋がしたい。

本当にそぉ思った。

他人の恋と自分の恋はやはり違う気がするし羨ましくもなる。

読んでいて微笑ましくて爽やかで若さ(ある障害)故に熱くて二人は溶けたチョコレートみたいだと思った。

「やっぱり男子なんかには、何にもわからないんだね」

そぉそぉ!!って道産子研究員めぐに共感した。

何も食べれなくなって、眠れなくなって、不安になって、悩んで、何にも手につかなくなって… 分かんないんだね… おかしな木戸さんの語録も面白い。

「自由に恋するのは、若くて可愛い女子の特権なんだよ」

「おれらみたいな若いだけの男子には、実は何の価値もないんだぜ」

「男は“来る者は拒まず”でいいんだよ」

「この世には、マグレと気まぐれしかねえんだよ」

そして僕の妹もなかなか面白い。

兄と妹ってこんな感じなのかな?よく分かんないけどいい関係だなって思った。

更けゆくのは、夜だけなのかしら。

あ、ふ、れ、た、のは、ビールのあわだけかしら。

彼が好きなのはわたしだけかしら。

2010年3月22日 (月)

エリコ

『エリコ』 島田雅彦

神話のような話だった。

なんというか…混沌としていて不思議な話。

おじいさんが孫のエリコに言った言葉が心に残った。

コトバは相手を傷つけたり、滅ぼしたりすることもある。

おまえが「死ね」というコトバを使ったら、相手は命を失うことになる。

だから、コトバを使うときは必ず自分のココロを相手に預けなさい。

もし、おまえがコトバで相手を傷つけたら、おまえのココロが痛みを感じる。

コトバで相手を滅ぼしたら、おまえのココロが滅びる。

ココロを惜しみなく差し出せば、相手はおまえを信じる。

そればかりかおまえを愛し、自分のココロもおまえに預けようとする。

当たり前すぎて気付いてなかったことだった。

言霊だ。 「好き」「愛してる」「信じてる」 相手に差し出した言葉は自分の心そのもので、それを疑うのは相手のことも自分のことも疑うってことなんだ…

「嫌い」「会いたくない」「信じられない」 マイナスな言葉は相手も自分もダメにしてしまう。

一番大事なことは信じるということ。

2010年3月 8日 (月)

ミッキー

『ミッキーかしまし』 『ミッキーたくまし』 西加奈子

この人本当に面白いわぁ。

面白くて読み終わっても笑ってしまう。

まずこの人の周りにいる人が面白い。

面白い人が集まってくるこの人も面白い。

バイト時代の話も友達の話も子供時代の話も家族の話も猫の話も面白い。

本当に面白くて始終笑いぱなし。

長渕剛を見る度に吹き出してしまう。

西さんと友達になりたい。

たぶん鬱にならないと思う。 ずっと躁状態。

それも疲れるかな? けど元気がなくなったときにまた読みたくなる。

いっぱい泣いたあとにはやっぱりいっぱい笑わないと。

なんか気分が軽くなる。

文庫本が出たらこの2冊は絶対に買う!!

2009年9月25日 (金)

図書館

久しぶりに図書館に行った。

しゃばけシリーズの最新刊を借りるため。

なのに貸し出し中。。。。。

まぁいいやと物色。

三崎亜記:廃墟建築士

桜庭一樹:ファミリーポートレイト

長野まゆみ:左近の桜

を借りる。

2009年8月23日 (日)

きいろいゾウ

『きいろいゾウ』
西加奈子

こんな夫婦に少しだけ憧れてしまう。

夫の名前は武辜歩(ムコアユム)、妻の名前は妻利愛子(ツマリアイコ)。

そして二人はお互いをムコさん、ツマさんと呼び合う。

ムコさんは小説家をしながら老人ホームで働いている。そして背中には大きな鳥のタトゥー。
ツマさんは周囲の植物や動物などの声が聞こえてしまうとても不思議な人。

二人は都会から田舎に移り住んだ若い夫婦。

普通の夫婦。優しさに溢れた夫婦。

だけどムコさんには秘密がある。

背中に鳥のタトゥーをいれるほどの秘密。

けどムコさんの秘密はツマさんにとったら今の生活を変えてしまうほど重大なこと。

後半はずっと胸が苦しかった。

それでもすらすらと読めてしまうのは会話のリズムがいいから。


必要なもの。

朝食のトマトと岩塩
そば殻の枕
お香「ピーターパン」のにおい
健康サンダルとその刺激
クールの目薬とその刺激
キン肉マンのどんじゃら
たくさんのバスタオル
風呂あがりのビール
階段が軋む音
緑の升目の原稿用紙
黒と木目柄の万年筆(メーカー不明)
第四小学校相撲大会でもらったトロフィー
青い目覚まし時計とその微妙なズレ
豚毛のブラシと歯ブラシ
針がレコードを削る音
コーヒーを煎るにおい
ほうじ茶を沸かす儀式
抽選で当たったディレクターズチェア
カエルの鳴き声(大合唱に限る)
明け方の空の色
裏山を吹く風
欠け始めた月

ぼくのつま


なんていうか…切ない。

必要なもの「ぼくのつま」と言われたい。

2009年8月22日 (土)

流れ星が消えないうちに

『流れ星が消えないうちに』
橋本紡

胸がずっと苦しい。

読み始めから読み終わった今も胸が苦しい。

よくわからない気持ちで苦しい。

夕食の天ぷらで苦しいわけじゃない。

と思う。


恋人を亡くした奈緒子と親友を亡くした恋人の巧。

突然、二人の世界からいなくなってしまった加地。

いなくなってしまったから繋がった二人。

二人の思いと日常を交互にいなくなってしまった加地を思い語る。

けど二人はお互いに加地の名前も話も口にはしない。

二人は時々いなくなってしまった加地を通して触れ合う。

涙が出そうで出ない…

彼等の周りの人が面白いから…。

流れ星に願いをかけるほど未来を生きられる。

亡くなってしまった人を身近に感じたい思いが星にさせる。

亡くなった人は星になって見守ってくれる。

星になっていつまでもそばにいてくれる。

そう思うだけで胸の苦しさが軽くなる気がする。

だから空を見上げてしまう。

ごはんも美味しく食べれてしまう。

この人の本を読むとお腹が減る。

ご馳走様です。

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